トレンド読解から予測まで チャート活用ガイド

Chapter 1 チャート読解の基礎知識

まずは、具体的なチャートの読み方をご紹介します。現在のトレンド状況を理解するためにも、これらの基礎知識をしっかりと身につけておきましょう。

ローソク足チャート

チャートの基本といわれるのが、この「ローソク足チャート」です。ひとつひとつの形がローソクに似ていることからそう呼ばれます。ローソク足チャートには、日々ベースの日足(ひあし)、週ベースの週足(しゅうあし)、月ベースの月足(つきあし)などがあります。

下図は日足のローソク足チャートです。その日、売ろうか買おうかを判断する時には、一般的に日足を使うとわかりやすいといわれています。
ローソク足の形は、一定期間の「始値(はじめね)」、「高値(たかね)」、「安値(やすね)」、「終値(おわりね)」の4つの値段をもとにつくられます。
始値より終値が高く終わった時は「白抜き」で描き、始値より終値が安く終わった時は「黒塗り」で描きます。そこに「ヒゲ」と呼ばれる、その期間(日、週、月など)の高値と安値の線を引いて、ローソク足の完成です。

ローソク足チャート イメージ
陽線 陰線 イメージ

白抜き・黒塗りは、モノクロで表現する場合です。

Point ひとつのローソクから、一定期間の値動きをひと目で読み取ることができます。

移動平均線

ローソク足チャートに沿うように書きこまれている線を「移動平均線」といいます。移動平均線とは、例えば日足の場合、当日から遡ったある期間の終値の平均値を、1日ずつずらしながら算出し繋いでいった線のことです。5日移動平均線なら、直近5日間の終値の平均を繋いだ線です。
一般的に、移動平均線は株価のトレンド、方向性を示すといわれています。

移動平均線にもさまざまな種類があります。日足の場合、5日、25日、75日、200日などを使うのが一般的です。

移動平均線 イメージ

株価の上昇基調、下落基調を読み取る

ゴールデンクロス・デッドクロス

株価の基調を読み取るために、多くの投資家が参考にするのが、ゴールデンクロスデッドクロスです。
ゴールデンクロスとは、13週移動平均線が26週移動平均線を下から上に突き抜けた時の交差を表し、一般的に株価が上昇基調に入ったシグナルといわれています。
反対に、デッドクロスとは、13週移動平均線が26週移動平均線を上から下に突き抜けた時の交差を表し、一般的に株価が下落基調に入ったシグナルといわれています。

ゴールデンクロス デッドクロス イメージ

例えば下図右図では、赤と青の移動平均線をそれぞれ、13週移動平均線と26週移動平均線と見立てて見てみましょう。すると、Aのポイントで、一般的に株価は上昇基調に入ったと考えることができます。逆に、Bのポイントでは、一般的に株価は下落基調に入ったと考えることができます。
なお、13週や26週移動平均線よりも短い期間の移動平均線で起こるゴールデンクロスとデッドクロスをそれぞれミニゴールデンクロス、ミニデッドクロスといいます。

ゴールデンクロス デッドクロス表 イメージ

ゴールデンクロス・デッドクロスの注意点

上記の例の2つのポイントをよく見てください。実はゴールデンクロスは、最も安くなっている時ではなく、その後、少し上がってから現れています。同じようにデッドクロスも、少し下がってから現れています。
これは、移動平均線は過去のデータの平均であるため、実際の株価の動きよりも遅れて動きが現れるからです。
また、移動平均線は1日の終値で計算しますので、クロスした翌営業日以降でないと売買の注文を出すことができません。ここでも、投資家は少し出遅れてしまうことになります。

Point 安い時に買いたい、高い時に売りたいというのが投資家の心理。
そんな時に役立てたいチャートが、次でご紹介するMACDです。

より新しいトレンドを読み取る

MACD

MACDとは移動平均・収束・拡散手法(Moving Average Convergence Divergence)の略称で、マックディーと読みます。
売られすぎ・買われすぎのタイミングを判断するための指標で、一般的に、相場の転換点を知るのに有用な手法とされます。株価の動きが横ばいや、短期間に乱高下する場合、MACDではトレンドを把握できない弱点があります。

「平滑移動平均線」という通常の「移動平均線」と比べ、より直近の株価の影響が大きくでるように計算された、期間の異なる2つの移動平均線が使われます。赤の線「MACD」と、その移動平均線である青い線「シグナル」が、売買のタイミングを教えてくれます。一般的に、中央ラインより下のマイナス圏内で、MACDがシグナルを下から上に突き抜けると「買いのサイン」、中央ラインより上のプラス圏内で、MACDがシグナルを上から下に突き抜けると「売りのサイン」といわれています。

MACD イメージ

MACDの注意点

「移動平均線」と「MACD」を、上下に並べて比較してみましょう。
MACDでの「買いのサイン」が出ているのは、Aのポイントです。こうして比較すると、移動平均線よりMACDの「買いのサイン」のほうが早く現れていることがわかります。「売りのサイン」についても、MACDの「売りのサイン」の方が早く現れています。このように、一般的にはMACDのほうが移動平均線よりも早くトレンドの始まりを示すといわれています。

しかし、MACDは、どんな時でも使えるというチャートではありません。株価の値動きが乏しい「保ち合い相場」や、株価の方向性が定まらない状況では、その効果は発揮できないといわれています。

今回ご紹介したほかにも、MACDにはさまざまな使い方があります。ぜひ、ご自身で研究してみてください。

MACDの注意点 イメージ

Point チャートの種類ごとの弱点を理解しておくことも重要です。

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