リサーチ力を結集してミライを見通す!MUFGウェルスマネジメントの投資見解「GMAP」とは

2023/4/28

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)では、投資初心者から富裕層まで幅広い投資家を対象としたウェルネスサービスを提供しており、独自のハウスビューとして「GMAP」を策定しています。

ハウスビューとは、資産運用における組織としての公式な投資見解のことです。運用会社等に所属する専門家が経済や金融市場を分析したレポートのほか、それらを踏まえた資産配分例や投資戦略などの情報を提供しており、投資判断における参考資料として有用です。

GMAPは投資家への見通しの説明のほか、「Mirai Value(ミライバリュー)」などのMUFGウェルネスサービスの参考としても使用されます。

一般的な投資レポートとは一線を画すGMAPの策定プロセスについて、三菱UFJモルガン・スタンレー証券ウェルスマネジメントリサーチ部でチーフ・グローバル投資ストラテジストを務める新井洋子がお話しいたします。

MUFGウェルスマネジメントのハウスビュー「GMAP」とは

私が所属するウェルスマネジメントリサーチ部は、国内外の経済情勢や金融政策を調査・分析して投資戦略や資産配分の在り方について検討し、四半期ごとにその結果を「GMAP」として発表する役割を担っています。

GMAPはGlobal Macro & Asset allocation Perspectivesの略称で、MUFGウェルスマネジメントのハウスビュー(資産運用に関する組織としての公式見解)です。世界経済の長期的な見通しと、そのシナリオに沿った投資戦略と資産配分について詳しく解説する内容になっています。

なお、4文字のアルファベットには、G(グローバル市場を対象)、M(マクロの経済環境を考慮)、A(投資対象となる各資産の見通しに沿って配分を決定)、P(市場見通しの策定)といった意味が込められています。

過去のデータではなく、10年先を見通した投資戦略

一般的な資産配分は、各アセットクラス(運用対象資産)における過去のトラックレコード(値動きの推移)をもとに、組み合わせや配分比率を決定しています。これに対し、フォワードルッキング(先行きを見越した)という観点を重視しているのがGMAPによる資産配分の特徴です。

GMAPの先行きに対する予測とは、10年先の世の中の姿を見越したものとなっています。お客さまの多くは長期的な資産形成に取り組んでいますので、大局観で世の中の方向性を捉え、その流れの中でどのような構造変化が起きるのかを推察しています。

たとえば、近年はDX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉が盛んに用いられている通り、デジタル技術のさらなる活用が企業のビジネスや労働生産性、人々の働き方・暮らし方などに大きな影響を与えることが予想されます。一方で、少子高齢化に伴って日本では人口減少が続いていきます。

そうなると、ロボットやAI(人工知能)によるFA(ファクトリー・オートメーション:工場の無人化・省力化)やRPA(ロボテック・プロセス・オートメーション:ホワイトカラー業務の自動化)などを通じて、いかに労働人口の減少がもたらす生産性の低下を食い止められるかによって、今後の経済成長率が変わってくるでしょう。

また、気候変動をはじめとする環境問題への取り組みについても、社会全体や個々の企業の行動によって、今後の経済成長に違いが出てくると考えられます。

そこで、GMAPでは一定の傾向ではなくさまざまな角度から検証を重ねながら、世の中における将来のストーリーを描くことで長期の見通しを立てることを重視しています。

もちろん、並行して短期的な見通しについても分析を行っています。この場合の短期とは、数週間といった目先の話ではなく、1~2年といったスパンです。

長期的な見通しを踏まえたSAA(Strategic Asset Allocation/戦略的資産配分)を中核に位置づけながら、短期的な見通しを反映させたTAA(Tactical Asset Allocation/戦術的資産配分)も用いています。TAAにおいては今後1~2年間で相対的に魅力の高い資産の比率を高めることで超過収益を追求しています。

各分野の専門家たちがワンチームとなって分析

ウェルスマネジメントリサーチ部は、日本を含めたグローバルなマクロ経済を分析予想するエコノミストや、外国為替市場、株式や債券からオルタナティブ(商品市場など、伝統資産的なアセットの代替となる投資対象)まで、各アセットクラスを担当するストラテジスト、クォンツ・リサーチ(計量分析)の専門家らで構成されています。そのうえで、担当領域の調査・分析を進めつつ、異なる専門領域のメンバー間でも頻繁にディスカッションを行っています。

たとえば、少子高齢化のようなマクロのテーマはエコノミストが担当しますが、この問題への取り組みを通じて新たなビジネスが生まれたり、産業構造に変化が生じたりする可能性については、ミクロの視点からストラテジストが分析します。このようにメンバー同士で情報を互いに共有しながら、チームが一丸となってGMAPの策定に取り組んでいます。

一般的なリサーチ体制では、マクロ分析とミクロ分析は完全な分担制にして別々のチームとして行うケースが主流です。しかし、私たちは20名弱のメンバーが密に連携を図りながら、一つのチームとしてリサーチと分析を重ねています。

一方で、社内にも機関投資家向けに情報発信を行うリサーチ部門がありますし、MUFGのグループ企業各社が蓄積した知見や、米国のモルガン・スタンレーのグローバルな情報ネットワークもフルに活用できます。こうした万全の体制で緻密なリサーチを行えることが大きな特徴であり、私たちの強みであるといえるでしょう。

私たちが見通す10年先の世界経済とは

世界経済の成長を維持するには高齢化にどう対処するかがカギとなる(画像=ka21/stock.adobe.com)

現在、私たちがGMAPを通じて発表している10年先の世界経済の見通しについて、具体的に説明しておきましょう。

インドをはじめとする新興国の台頭もあるでしょうが、先進国を中心に高齢化が進んでいくという社会構造の変化が大きなテーマとなってきます。米国に次ぐ経済大国となった中国も現在の人口動態から見て、高齢化の問題と直面しているはずです。

したがって、高齢化に伴う労働人口の減少をテクノロジーの活用によって補い、生産性を向上させていくことがグローバルな社会課題となってくるでしょう。そう考えると目覚ましい発展は難しく、長期的に世界経済は緩やかなピッチで成長を遂げるというのがメインシナリオになってきます。

一方で、気候変動のように差し迫った課題に立ち向かっていかなければ、経済成長以前に社会の持続性が脅かされます。また、ロシアによるウクライナ侵攻のみならず、今後も世界のどこかで地政学上の問題が深刻化する可能性も考えられるでしょう。こうしたリスクを踏まえると、今後も不確実性が高い状況が続いていくものと思われます。

結論としては、緩やかな経済成長が続く中で金融市場のボラティリティは高い(値動きが荒くなりやすい)ことを前提に、お客さまは資産運用に臨んでいくことになると考えます。

長期の国際分散投資で、目先の動向に振り回されない

金融市場のボラティリティが高いことに留意しつつ、緩やかな経済成長がもたらす果実を着実に享受するには、当社が基本の投資戦略としているマルチアセット投資が最も有効と思われます。

それは、株式や債券といった伝統的なアセットを中心としながらも、オルタナティブなどにも視野を広げた分散投資を戦略的かつ機動的に行っていくというアプローチです。

これはまさに、国際分散投資の王道です。資産運用のゴールはかなり先の未来に定められているわけで、そこへ到達する前に資産を大きく減らしてしまっては本末転倒です。

長期のスパンで運用を行っていくうえでは、さまざまなアセットを組み合わせることによって、安定的な成果を目指すことが基本です。

たとえば、2020~21年は米国株を中心に株式市場のパフォーマンスが非常に良好で、結果的には他のアセットに配分せずに集中投資を行ったほうが正解だったかもしれません。

しかしながら、2022年の株式市場では正反対の情勢になったのも事実です。驚異的なリターンを獲得するという大きな成功は得られずとも、小さな成功体験を積み重ねていくことによって、継続的に安定した成果を目指せるのがマルチアセット投資の強みです。

投資戦略を練りながら、お客さまの資産形成を考えていく

このように10年先を見通して長期的な投資戦略を立てていますが、もちろん、金融市場が急変した場合は緊急ミーティングも実施します。そのうえで、どんなことが起きているのかについてお客さまにわかりやすく正確にお伝えし、見通しを修正する必要があれば、その詳細を報告するための臨時レポートを作成します。

ここまで、リサーチ体制と投資戦略の指針についてお話させていただきましたが、私たちはお客さまの資産をお預かりして運用することが大前提です。

そのうえでリサーチとは、ハイリターンが得られるアセットを言い当てるようなものではなく、大切なお金の運用について、お客さまに寄り添い共に考えていくことだと考えます。その姿勢に徹することで、初めて金融機関は社会貢献を果たせるのではないでしょうか。

ですから、すべてを私たちに任せていただくというスタンスではなく、お客さまへ今後の見通しとそれに沿った投資戦略、具体的な資産配分などについてきちんとお伝えし、十分に納得していただくことが大切です。お客さまとともに考えていくための情報提供を行うことがリサーチの醍醐味であると捉えると、改めて非常にやりがいのある仕事だと感じます。

資産運用の世界ではさまざまな専門用語も出てきますし、複雑な手法を用いた分析も行います。それだけに、いかにしてわかりやすくお伝えするかが大きな課題です。きちんと伝わっていると実感できると、自分の役割を果たせたことに安堵します。これからも、お客さまから信頼・信用を獲得できるよう努めてまいります。

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