新旧NISA併用のメリットは?|2023年中に備えておきたいこと
2023/3/31
NISA(少額投資非課税制度)が2024年から新制度に変わります。この新しいNISAは現行NISAと併用できるため、まだNISAを利用していない人は、2023年中に現行NISAを始めておくと、より多くの資金を非課税で運用できます。「これからNISAで運用したい」「制度をできるだけ有効に活用したい」と考えている人は、本記事で解説する制度変更時のポイントをしっかりと確認して準備を進めましょう。
目次
時限措置だったNISAが2024年から恒久化
NISAとは、家計の安定的な資産形成の支援などを目的として導入された税制優遇制度です。現行NISAには、成人(18歳以上)の方が対象の一般NISAとつみたてNISA、未成年(0〜17歳)の方が対象のジュニアNISAの3種類があります。最大の特徴は、投資から得た利益(値上がり益や配当金、分配金など)にかかる20.315%(復興特別所得税を含む)の税金が一定の投資額まで非課税になることです。
例えば、投資で10万円の利益が出たとします。通常であれば20.315%の税金が差し引かれ、7万9,685円の利益しか残りません。一方NISAを利用すれば、10万円すべてを利益として受取ることができます。
ただし現行NISAは時限措置であり、非課税で運用できる期間や新規に投資できる期間が限られていることが課題でした。一般NISAの場合、非課税期間が5年、新規投資期間は2023年までと決められています。
一方、2024年1月から始まる新しいNISAでは、一般NISAを「成長投資枠」、つみたてNISAを「つみたて投資枠」と名称を変えた上で一本化し、非課税期間と新規投資期間が無期限になるなど、使い勝手が格段に向上する予定です。
現行NISAと新しいNISAを併用するメリット
現行NISAと新しいNISAの概要(2023年3月1日時点)
現行NISA | 新しいNISA | ||||
---|---|---|---|---|---|
一般NISA | つみたてNISA | ジュニアNISA | 成長投資枠 | つみたて投資枠 | |
対象者 | 日本に住む成人(18歳以上) | 日本に住む未成年(0〜17歳) | 日本に住む成人(18歳以上) | ||
制度の併用 | 不可 | ― | 可 | ||
買付方法 | 通常の買付け・積立投資 | 積立投資のみ | 一般NISAと同じ | 通常の買付け・積立投資 | 積立投資のみ |
投資対象商品 | 上場株式・投資信託など | 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託等 | 一般NISAと同じ | 上場株式・投資信託など*1 | 現行のつみたてNISA対象商品と同じ |
年間投資枠 | 120万円 | 40万円 | 80万円 | 360万円 | |
240万円 | 120万円 | ||||
非課税保有限度額(総額) | 600万円 | 800万円 | 400万円 |
1,800万円 (うち成長投資枠は1,200万円) |
|
投資枠の再利用 | 不可 | 可 | |||
非課税保有期間 |
5年間 最長2027年まで |
20年間 最長2042年まで |
5年間 2024年以降に非課税保有期間が終了する場合は18歳まで継続可能 |
無期限 | |
口座開設期間 | 2023年まで | 恒久化 |
現行NISAは2024年から始まる新しいNISAとは別の制度です。現行NISAは2023年で終了するため、2024年以降は新規投資ができませんが、一般NISAやジュニアNISAなら投資から5年*2、つみたてNISAなら投資から20年にわたり非課税で運用できます。つまり現行NISAと新しいNISAは併用できるということです。
現行NISAと新しいNISAを併用するメリットは、より多くの資金を非課税で運用できる点にあります。現行NISAを利用している人もしていない人も、新しいNISAにおいて非課税で運用できる金額は同じであるため、2023年中に現行のNISA口座を開設して投資をスタートすれば、その分だけ運用金額の合計が多くなると言えるのです。
- *1 整理・監理銘柄および信託期間20年未満、高レバレッジ型、毎月分配型の投資信託等は除外
- *2 ジュニアNISAの非課税保有期間は5年間ですが、2024年以降に非課税保有期間が終了する場合は名義人が18歳になるまで非課税で運用できます。
一般NISAとの併用なら120万円アップ、つみたてNISAとの併用なら40万円アップ
現行NISAと新しいNISAの併用の有無で、非課税で運用できる金額にどのくらいの差が出るのでしょうか。ここでは、一般NISAと新しいNISAを併用する場合、つみたてNISAと新しいNISAを併用する場合に分けて見ていきましょう。
一般NISAと新しいNISAを併用する場合

新しいNISAに先駆けて2023年に一般NISA口座を開設し、両NISAとも年間投資枠の上限額を投資したとします。例えば2025年時点では、新しいNISAだけを利用している場合は最大720万円(年間投資枠360万円×2年)までの資金が非課税での運用限度額になりますが、一般NISAと併用している場合は合計840万円(720万円+120万円)までの資金を非課税で運用できます。新しいNISAだけの利用と比べて合計の運用金額が120万円アップします。
つみたてNISAと新しいNISAを併用する場合

新しいNISAに先駆けて2023年につみたてNISA口座を開設し、両NISAとも年間投資枠の上限額を投資したとします。例えば2028年時点では、新しいNISAだけを利用している場合は最大1,800万円(年間投資枠360万円×5年)までの資金が非課税での運用限度額になりますが、つみたてNISAと併用している場合は合計1,840万円(1,800万円+40万円)までの資金を非課税で運用できます。新しいNISAだけの利用と比べて合計の運用金額が40万円アップします。
少しでも多くの資金を非課税で運用したいなら、現行NISAと新しいNISAの併用を検討してみましょう*3。
- *3 繰り返しになりますが、現行NISAは2023年で終了するため、2024年以降は新規投資ができません。一定期間、非課税で運用のみ可能となります。例に挙げた2025年、2028年時点でも新規投資ができるという意味ではありません。
2023年、3つのNISA口座を選ぶなら?
先述したとおり、現行NISAには、成人の方が対象の一般NISAとつみたてNISA、未成年の方が対象のジュニアNISAの3種類があります。一般NISAとつみたてNISAを同時に利用することはできません。それぞれの口座の特徴を踏まえて、自身に最適な口座で現行NISAをスタートしましょう。
できるだけ多くの金額を非課税で運用したい、株や投資信託など幅広い金融商品に投資をしたいと考えるなら、一般NISAがおすすめです。
長期で運用したいなら、非課税保有期間が長いつみたてNISAが選択肢となるでしょう。なお、三菱UFJモルガン・スタンレー証券ではつみたてNISAの取り扱いはありません(2023年3月1日時点)。つみたてNISAの開設を希望するならMUFGグループ傘下のオンライン証券であるauカブコム証券を検討しましょう。
auカブコム証券のつみたてNISA詳細はこちら子供がいるなら、子供名義で開設可能なジュニアNISA口座の利用を検討してもよいでしょう。ジュニアNISAの非課税保有期間は5年間ですが、2024年以降に非課税保有期間が終了する場合は名義人が18歳になるまで非課税で運用できます。資金に余裕があるなら、家族の投資枠も積極的に活用したいところです。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券でNISA口座を開設しよう
NISA口座を開設するなら、三菱UFJモルガン・スタンレー証券を検討しましょう。NISA口座は証券会社のほか銀行でも開設可能ですが、証券会社と銀行では取扱商品数に大きな差があります。銀行でお取引きできるのは投資信託のみです。一方、証券会社では投資信託に加えて株式やETF(上場投資信託)、REIT(不動産投資信託)など、幅広い金融商品への投資が可能です*。
- * 一般NISAとジュニアNISAに限ります。つみたてNISAで選べる金融商品は、長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託等となります。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券でのNISA口座開設の流れ
NISA口座開設の流れ
- 必要書類(非課税口座開設届出書およびマイナンバー書類)を証券会社に返送する
- 証券会社による税務署への開設申請
- 税務署による非課税口座の開設承認
- 証券会社がNISA口座を開設
- お取引きスタート
NISA口座はすべての金融機関を通じて1人1口座しか開設できず、開設にあたっては税務署による審査が行われます。そのため、口座開設の申し込みからお取引きスタートまで、場合によっては1ヵ月程度かかることは覚えておきましょう。なお、現行のNISAを2023年中に開設しておくと、新制度開始時に新しいNISA口座が自動的に設定されます。資産運用を早く始めたいと考えているなら、速やかに手続きを進めることが肝心です。

山本希美
山本希美
中央大学法学部卒業後、都市銀行に入社。ファイナンシャルプランナーとして、おもに富裕層の資産形成・運用相談を担当し、投資信託や保険商品・債券・外貨預金の販売に携わる。その後はWEBライターとして、投資や資産運用についての情報を発信。子供の学費や老後資金作りのため、自らも20代から株式や投資信託、保険商品などによる資産運用を続けている。
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