「たぱぞう」の米国株一択!(3) 資産形成の第一歩は何かを犠牲にすること

2023/6/30

米国株の情報を発信するブロガーで、ベストセラー『お金が増える 米国株超楽ちん投資術』の著者・たぱぞう氏が、これから投資を始めようと考えている読者に向けて投資の秘訣を4回に分けて伝授します。第3回は、投資への心構えについてです。

家族でお金をどのようにふやしていくのかを考える

みなさんは、ご家族の間でお金のことを話す機会がありますか?昔から日本では、お金の話をするのはタブー視されてきました。しかし米国など先進国では、家族間で積極的にお金の話をし、子供には幼少のころから各家庭でマネー教育を行っています。大切な資産を防衛し、大きく育てていくうえでも、ぜひお金の話を家族間で共有してください。

まずは、お金を守ることが大切です。最近では高齢者の資産を狙った詐欺が後を絶ちません。これは家族の誰かに相談することでほとんどが解決できるのではないでしょうか。金融商品に関してもデリバティブ(金融派生商品)を活用した複雑な商品がたくさん登場しています。リスクとリターンを家族間でしっかりと話し合って、商品性を理解したうえで投資する必要があります。また、万が一のことがあった場合に備えて、お互いの資産背景を知っておく必要もあるでしょう。そうしないと、せっかく苦労して貯めた大切なお金がどこかに置き去りになってしまうかもしれません。

新旧NISA制度の比較

出典:金融庁ホームページ「NISAとは?」を参考に編集部で作成
(出典:金融庁ホームページ「NISAとは?」を参考に編集部で作成)

一方、老後に向けて資産をふやすことを考えた場合、これからは夫婦間で協力することが効率よく資産形成を行うポイントになるはずです。たとえば、2022年12月に公表となった「令和5年度税制改正大綱」によると、2024年1月からNISA制度(少額投資非課税制度)が大幅に拡充される予定です。詳しい制度内容は割愛しますが、一言で言うと、NISA口座で運用した利益が非課税となる優遇制度です。従来のNISAでは、投資可能な期間が決まっていましたが、新NISAでは期限がない恒久的なものになります。

また、投資可能な金額も「つみたてNISA」ではこれまで年間40万円だったものが、新NISAではつみたて投資枠と成長投資枠をあわせて360万円まで拡大されます。夫婦であれば、年間の合計額は最大720万円。一気に枠を埋める必要はもちろんありませんが、毎月コツコツと長期投資していくことはとても重要なことです。家族のお金をどのように運用していくのかをしっかりと話し合ってください。

投資の世界はスケール。そのためには「タネ」つくりが必要

金融庁の報告書を発端に浮上した「老後資金2,000万円問題」。若い層を中心に投資への注目が高まった(画像=hearty/stock.adobe.com)

さて、2019年には「公的年金だけでは老後資金が2,000万円足りない」問題が話題となりましたが、これまで貯蓄をしてこなかった方で「ドキッ」とされた方も多いのではないでしょうか。実は先日、高校時代の同窓会があり、そこで古くからの友人に老後資金について相談を受けました。友人は40代後半ですが、貯蓄が1,000万円にも満たないということで将来に不安を感じているとのこと。年収が1,000万円以上あるにもかかわらずです。将来のための資金を貯めようと思ったら、何かを犠牲にするしかありません。

私事で恐縮ですが、30代のころから披露宴での出し物や二次会の幹事などを任された場合を除いて、友人や知人の結婚式に出席するのをやめました。それまではピーク時には毎週のように結婚式が入り、月に10万円以上の出費が続いた時期もありました。もちろん、お祝いしたい気持ちはありますが、1回3万円のご祝儀に加えて、式に出席するとまる1日予定がふさがってしまいます。最初のころは「ドライな人だ」と思われたこともあったようですが、お金がなかったので仕方ありません。実際は、出席を断ったことで付き合いが終わってしまった友人はほとんどいませんでした。

このほか、意識して節約や我慢をしたのはコンビニとクルマです。コンビニはとても便利ですが、スーパーなどに比べて商品は割高です。1回の買い物では大した金額になりませんが、年間で換算するとばかにならない金額になるはずです。クルマも便利ですが、持っていると車両価格はもちろん、駐車場代や保険、ガソリン代といった固定費は若い世代にとって大きな負担です。また、生命保険も若いうち、特に結婚前は必要ないと思っていましたので加入しませんでした。

お金は無限ではありませんし、人間は誰もが1日24時間という時間の中で生きています。すべてのものを取ることはできないので、自分の大切なものに集中していくことを考え始めた時期でした。そういうひとつひとつの積み重ねが将来の資金の「タネ」となっていくのです。そのころは老後資金のことはあまり考えていませんでしたが、感覚的に「タネが小さいと効率が悪い。早くタネを増やしたい」と漠然と考えていました。たとえば、100万円を運用に回してもそれほどのリターンは見込めませんが、それが1,000万円や1億円になってくれば話は違ってきます。まさに「投資の世界はスケール」なのです。

時代は短期投資から誰もができる長期投資へ

私たちが過ごしてきた時期と比べて、現在は投資環境が恵まれていると思います。特に情報に関してですが、過去には「回転売買こそが投資」とか「高いレバレッジが掛けられるFX(外国為替証拠金取引)が有利」といったメディア報道がほとんどでした。マネー関連の雑誌にしても、値動きが軽い小型株の特集ばかりが組まれていました。つまり投資に対して、「一発逆転的な商品」が魅力的とされ、一般の投資家にもそれが当たり前のように刷り込まれていたのです。

それが今では「長期投資」や「積立投資」を推奨する人が増えてきましたし、実際、それで資産をつくった人の話をインターネットで簡単に閲覧することができます。短期売買は人を選びますし、その時々の「運」によっても成果が左右されます。一方、長期投資であれば、誰でもできますし、同じような成果を求めることができるわけです。また、米国株市場への投資もハードルが低くなりました。私がおすすめするS&P500種株価指数への投資に関しても気軽に積立投資ができるようになっています。

ゆとりのある老後を過ごすためにも、お金に関する支出を改めて考え、将来に向けての「タネ」つくりを行ってください。次回は連載の最終回となりますが、30代、40代、50代といった年代別の資産のつくり方について私なりの考えを書かせていただきます。

たぱぞう

たぱぞう

たぱぞう

2000年より投資をスタート。2010年以降は、米国株中心の投資にシフト。2016年、自らの投資観をブログにて書き始める。現在平均月間100万PV。「誰でもできる投資術」「誰でもわかる海外投資」をモットーに執筆中。2019年刊の初著書『お金が増える 米国株超楽ちん投資術』がベストセラーに。近著に『経済的自由をこの手に! 米国株で始める 100万円からのセミリタイア投資術』(小社刊)、『初めてでも儲かるたぱぞう式投資のキホン』(きずな出版)など。YouTubeチャンネル「たぱぞう投資大学」の登録者数は現在20万人。

オフィシャルサイト:たぱぞうの米国株投資
SNS:@tapazou29

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