私は現在、金融市場トレーディング部で本邦生命保険会社や地方銀行を対象に、米ドル建オーストラリア企業発行社債のトレーディング業務に従事しております。主な仕事内容は、お客さまと取引する中で生まれたリスクの管理をしつつ、マーケットに参加している機関投資家のニーズに合わせて、競争力のあるプライシングを出して収益につなげるというもの。時には数十億円にもなる取引を行うシーンもあり、大きなプレッシャーを伴います。常に動き続けるマーケットを相手にするので、一分一秒を争うことも少なくありません。マーケットの動きを予測し、その先の展望をイメージしながら、戦略的にトレードすることが求められるため、常日頃の情報収集が肝となる仕事です。
トレーディングに大切なのは、相手の立場に立って考えること。私自身、オーストラリア四大銀行の一つが米ドル建の新発債発行を発表した時、セールスと綿密な連携で得たヒアリング情報とマーケットの動きを照らし合わせた上で、ニーズが今後どう変化するかを見極めて、販売までつなげました。情報をただ鵜呑みにするのではなく、なぜそうなのかを自問して、紐解いていくことで、初めてニーズをとらえた活きた情報となり、根拠と競争力のあるプライスを提示できるようになります。戦略的なポジショニングが求められる中、理由付けができないような決断を迫られる場面もあることでしょう。しかし、活きた情報があれば自ずと道が見えてきます。元々、営業を経験していましたが、その時に得た「相手の目線に立つ」という意識が、今の仕事にも活きています。
活きた情報があるからこそ、信じられる直感が生まれてくる。それは仕事のみならず、キャリアにも通じていると思います。私はこの数年間で国内機関投資家向けの外債ビジネスの拡大に加え、海外拠点顧客に対する業務にも携わってきました。今後は今までの経験を活かして海外拠点顧客との外債ビジネスの拡大だけでなく、海外拠点での業務も経験したいと考えています。このようなキャリアプランが見えてきたのも、目の前にある壁に自分なりの考察を持って一つひとつ挑戦し続けてきたから。就職活動においても一緒だと思います。自分は何をしたいのか、将来どのように成長したいのか、今後その業界はどう変わっていくのか、深く考えることで初めて道が見え、自信のある決断ができるようになります。ぜひ、これからの就職活動でも自分自身でさまざまなことを考えて、納得できる決断をしてください。